選択の時

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「君が勝手気ままに振る舞っている時アナベルが現れ、彼女を気に入った僕から離縁言い渡された君は焦った。離縁すれば身辺整理でこれまで横領したお金のことがバレてしまう。だからアナベルを自殺に見せかけ毒殺したんだ」 「……ッ」 「予定外だったのは俺の存在だろう?」  フランシスとは反対側からエデルドゥールはパトリシアに近づく。 「だが、強欲なお前は諦めなかった。日ごろの金遣いを俺から咎められていたお前は俺も邪魔だった。俺とアナベルの仲を問いただし、二人同時に始末する方法を思いついた。フランシスがお前の愚行とその恐ろしい計画を端から把握していることも知らずに」 「なっ……!!」    信じられない顔でパトリシアはわなわなと身体を震わせる。 「パトリシア……最初に離縁を言い渡した時、正直に話して欲しかったよ」 「フランシス様……私……あ……あの……」  フランシスはパトリシアの歪んだ顔を見つめる。  最愛の妻だった。  過去形になるのが残念だと思うほど。 「僕は気の強い女性は好きだけれど浅ましい女性は嫌いだよ」
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