選択の時

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「だからあんたの居場所はここじゃないって」 「えっ?」 「輪廻転生の更新手続きのご案内です」  おしゃぶりを口に咥えたまま器用に喋るバブみ中年が一枚の紙を楓に渡す。 「こ、更新手続き……?」 「あんたの世界での分かりやすい言葉でいうとお試し期間終了ってやつ? 天界ってとっても慈悲深いの。しばらく生き返ってみたけどやっぱ思ってたの違ったなって思った場合は試験期間中なら別の世界に飛ばしてあげることが出来る。枠が空いてれば生き返らずに転生先での行動次第で地獄か天国かどちらかに行くことも出来るけど」 「わ……私の場合はどっちです?」 「……あんたはどうしたいのよ?」  楓は間髪入れずに大きな声で叫ぶ。 「生き返りたいです!」  裁判長はふっと優しく微笑んだ。
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