選択の時

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「……最終確認だけど」  裁判長は楓に問う。 「生き返るのは現世でなくて、本当にいいのね?」    楓は一瞬息を飲み、大きくうなずく。 「ちなみに理由を聞いてもいい?」 「あの世でもこの世でも天国でも地獄でも……一緒にいられればそれでいいって思える人が出来たから、です。その人たちがいる世界で生きたいのです」 「転生させ甲斐のあるこというじゃない」  「あ……あの“条件”ってどうなりますか? 結婚した瞬間にまた呼び戻されますか?」 「死にたがってない人間にそんな面倒なことしないわよ。死ななきゃそもそもこっちには来れない」 「え……てことは、私あの時……」 「ほらほらもう行きな。そんなに長居していい場所じゃないんだから」  裁判長は楓をしっしと手で払いのける。 「次はうっかり死なないようせいぜい元気に生きしなさい。人生って意外と短いんだから」 「……はい!」    あの時と同じように立っていた床が外れる。  空中で態勢が変わり、今度は自らの意思で真っ逆さまに落ちて行った。
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