選択の時

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「ところで裁判長、どうして二度目に死ぬ条件が“結婚”だったんですか?」 「あ、僕も気になっていました」 「珍しく気が合うじゃん」    鬼ギャルとバブみ中年は顔を見合わせ、同時に裁判長の方を見る。 「さぁね」 「え、なにそれ。ちゃんと教えてくださいよ」 「あ……もしかして天国では夫婦は元々ひとつの魂だったと言われていますから分身を探す旅に出るためという理由では?」 「は? なにそれ理由になってなくない? あれでしょ、地獄では結婚は墓場だっていうからそれにかけてるんじゃない?」 「そんなロマンのない……結婚というのはですね、もっとこう」 「ほらほら雑談おわり! 次の死者が来てるわよ! 開廷!!」  カンカンカンッ!    真っ白い世界にハンマー音が鳴り響いた。
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