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4.
霧子の授業が終わるのを待ちながら、考えるのは吉良さんとの思い出ばかりで、自分でも苦笑する…。
それにしても不思議…と、また記憶を過去に戻して思う。
吉良さんとの電話中にベッドから転げ落ちたあの時、どうしてすぐに私の部屋に来れたんだろう?
そして、私の部屋番号を知っていたんだろう…。
しばらくして、吉良さんに確認したことがあった。
「…それってそんなに重要?」
今すぐ答えなきゃいけないの…?と聞かれたと思う。
眉間にシワを寄せて私を見る目はもう…睨みつけていて、激しい苛立ちを瞬時に察知した私は慌てて言った。
「…いえ。いいんです。ごめんなさい…」
すぐに疑問を引っ込めた私に、ちょっと満足げな視線を落として言う。
「錦之助…?俺の周りをチョロチョロしてる奴。あいつに教えられたんだよ、確か」
後で確かめたら、誓って教えてない、と言われてしまったけど。
その後同じことを聞けるはずもなく…
結局謎のまま、現在に至る…。
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