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……… 勝手に入って待ってれば良かったかな… 部屋に帰ってお風呂に入りながら思う。 …そうだよね。 合鍵を渡されてるんだし、そうしちゃえば良かった。 帰ってきて家に私がいたら怒るかな? 今まで機嫌を損ねたくなくて、嫌われたくなくてだめって言われたこと、全部守ってきたけど。 美麗ちゃんと2人で飲んだこと、連絡先交換したこと、本当? 資格を取るための勉強をしてるとか、私に何も話してくれないのはなぜ? 聞きたいことや確かめたいことがいっぱいある。 …顔を見ちゃうと言えなくなるかもしれないけど…。 でも今は、与えられる答えを待ってるだけじゃなく、自分から答えを取りに行く方針に変えたくなった。 それはあまりにも短時間にいろいろあって落ちたから、逆に怖いものがなくなった感覚に似てる。 …そう腹が決まったなら。 引き出しにしまっておいた、吉良さんの部屋の鍵を両手に握りしめ… ちょっとマシな部屋着に着替えてから、私はもう一度吉良さんの部屋に向かった。 …………… 「…モネ?」 「ハイっ!おかえりなさい…」 玄関先に迎えに出た私を見て、驚いた顔をする吉良さん。 いつもだったら勝手なことをしてごめんなさいって謝ってたけど、今日は謝りません。 …ごめんなさい…。 「…酔ってるって言ったろ?」 盛大にため息をついた吉良さん、私の脇をすり抜けてリビングに行ってしまう…。 さすが…安定の塩対応。 でもいい。負けない。 冷蔵庫からペットボトルを取り出してゴクゴクしてる…。 離れてそれを見てるだけでも胸が高鳴る。 口元を袖のあたりで拭う仕草が少年ぽくて萌えます…。 「…あ、吉良さん、顔が…」 美麗ちゃんが言ってた、お酒を飲むと顔が赤くなるって…わっ耳も赤い…! 可愛い…! 冷静というより冷製で、冷たいというより冷凍な吉良さんが、お酒を飲むとこんなに顔が赤くなるなんて初めて見た…。 そういえば、私があまり飲めないからか、 ほとんど一緒にお酒を飲んだことがない。 何度かバーに連れて行ってもらったけど、そこは暗くて赤い顔なんて見えなかったし…。 「…吉良さん、また一緒に、バーでお酒飲みたいです」 思ったことは言うんだ…!と思って口に出したら「…は?」と言って固まってしまった。 「モネのくせにバーで酒とか贅沢だろ」 …出た。 ニヤニヤしながらいじめるやつ。 「…20歳になった時連れてってくれましたよね?今ならもっと大人になったから、似合うと思うんですけど」 「…じゃ、バーで待ち合わせするか?」 えぇっ?! ひ、1人でバーに入るとか…敷居が高すぎる…! 「…2〜3杯引っかけて、色っぽく俺を呼び出せたらお前の勝ち」 2〜3杯引っかけたら…潰れます… ククッと意地悪そうに笑った後、吉良さんはさらに痛いところをついてきた。
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