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バタン…とドアを閉め、はぁ…っと息をつく吉良さん。
「…なに請け負ってんだよ…まったく」
すいません…と謝りながら、汗ばむ吉良さんの姿にポーッと心奪われる…。
「…あ、汗かいちゃいましたよね?お風呂入ってください…」
「風呂も入りたいけど…今日送ってきたスタンプ、あれなんだよ??」
うわ…怒られるやつだ…。
私からメッセージを送らないって約束を破ったから…。
でもでも。
美麗ちゃんは送ってるのに…なんで私はだめなのですか?
考えてみれば、他の人だってバンバン送ってるはず。
なのにどうして私はだめなのですか?
不満で唇がとんがり、頬が膨らんでいくのがわかる。
吉良さんは膨らんだ頬を指先で突きながら…
「…あと、週末話したい事があるとか…?」
置き手紙のことだ。
なんだよ…と聞かれ、ちょっと強めの視線で見下ろされた。
「…まだ週末じゃないし…考えが、まとまってないので…」
そう言って見上げると、吉良さんの強めの視線とバッチリ合う…。
端整なお顔立ち…唇がキュッと結ばれて、寄せた眉間のシワも、一本一本が麗しい…。
うっかり見とれそうになるけど…そ、そんな顔したって、こ…今回は謝らないんだから。
吉良さんの強めの視線から頑張って逃げずにいると…意外にも彼の方から先に、スッと横にそらした。
「なんか…気がそれるから嫌なんだよ。お前からのメッセージとか…」
ドキン…。
…私からのメッセージは、邪魔ってこと?
ここんことずっと我慢して飲み込んでた涙が、ついに決壊して溢れた。
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