8.

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…ベッドが軋む音で目が覚めた。 ぬくもりが離れて、ひんやりしていく感覚。 目を開けると、私の首元から腕を抜こうとしてる吉良さん…。 「…あの」 思わず腕を取ってしまった。 「…いったん帰る。モネはもう一回寝る時間あるだろ?」 なんだかいつもより触れる手と目つきが優しい気がする。 「…キス、してほしい」 上半身を起こしかけてた吉良さんのTシャツをちょっとつかんで、下から見あげた。 驚いたような顔で見つめられて恥ずかしくなって、急いで唇を合わせる。 私が体重をかけたから、吉良さんは仰向けに、必然的に私が覆いかぶさる格好になった。 私が上になってキスなんて初めて…! どうしよう… チュウ…とゆっくり唇をくっつけたけど…このあとどうしたら…? 「…下手くそ…」 吉良さんに横向きにさせられて、チュッとついばむキスが降ってきた。 そっか、こうするんだ…。 一旦離れた吉良さんの唇に、もう一度私から口づけようとして… 急に仰向けにされて、開いた唇が近づいてきて…舌を絡め取られた。 窒息しそうなキス…。 噛みつかれる…と思うほど性急に乱暴に唇が重なる。 ハフハフ吐息をもらしながら…もう少しゆっくりしてくれないと…ついていけない…。 その時、私の上に覆いかぶさっていた吉良さんの下半身が、グッと股間に押し当てられて…。 あ、そういう状況なんだと知る…。 切ないような、モゾモゾする感覚…答えるキスに熱がこもる… ふと…密着していた下半身が離された。 「ごめん…」なんて。 聞いたことないこと、言わないで下さい。 「…時間ないから、戻る」 「…で、でも」 そんな状態で離れないでほしい。 ちゃんと私で満足してほしい。 「夜、ゆっくりな」 言われた意味はわかった。 今夜、ゆっくり愛してくれると? まだ不安そうな視線をよこす私に、吉良さんは笑って言った。 「…驚いた顔すんな。体だけの関係じゃあるまいし」 …ドアの向こうに消えていく吉良さんを見送りながら、もしかしたらここしばらく悩んでいたことの答えが出たんじゃないかと思った。 私はセフレじゃなくて、恋人って認識?  そうだよね?きっとそうだよね? …そう…取っちゃいますからね??
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