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吉良さんが来たら、この厚化粧オバケ…違う…吉備須川さんに、蜘蛛の巣にかかった獲物のように絡め取られてしまう。
絶対くっつくもん…下手したらチュウチュウキスされるかもしれないもん…。
そしたら吉良さんも男だし、鼻の下をビロビロに伸ばしちゃうかもしれない。
「…なんだよダメって?」
「…だ、だって、蜘蛛の巣に…」
「はぁ?意味わからんっ!」
私の心配も知らずに苛立った声を上げ…吉良さんはきっかり3分後に玄関を開けて入ってきた。
「…モネの部屋に行くかどうかは俺が決める!」
お前の出番じゃねぇっ…っとデコピンされて痛い。
「…やぁ〜ん!吉良っち吉良っちィ〜!私の隣に座って〜」
温めておいてあげたから…っと、吉備須川さん。
素直に隣に座るなんて。
するとタケが急に機敏な動きで吉良さんのもう一方の隣を確保してしまった。
吉良さんはタケと吉備須川さんにはさまれ…私は仕方なくタケの隣に腰をおろした。
「それにしても…吉良っちって、本当に美しいイケメンだよねぇ…」
吉備須川さんがほぉ~っとため息をつきながら、吉良さんの麗しいお顔に触れてる…
私だって触ったことないのに…!
「ところでこれ、なんの飲み会なんっすか?」
頬をこねくり回す吉備須川さんから身をよじって離れながら聞いてる。
「私達の出会いを祝す飲み会よぅ〜」
言いながらまた一歩吉良さんに近寄って、無理やりお酒を飲ませた。
「あの…さすがにもう、それ以上は…!」
私の吉良さんに、近づかないでほしい…。
よよ…っと腕を伸ばして言ったものの、吉良さんはベタベタ触ってくる吉備須川さんから逃れるのに必死。
吉備須川さんは負けじと触るのに必死だった。
それはまるでじゃれあってるようにも見えて…
私はがっくり頭を下げた。
…だから来ないでって言ったのにぃ…!
「モネ…?泣いてるの?」
タケが急に下を向いた私の顔を覗き込んで言った。
「泣いてません!」
急いで顔を上げてタケを睨みつけたつもりだったのに…。
「…わゎ…っ!何して…」
突然肩を抱き寄せるから、タケの胸に頬を寄せてしまった。
ふと見ると、見たことないほど怒った顔の吉良さん…!
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