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10.
バスタブにお湯を張りましたが…。
バンザイ…と言われてトレーナーを脱がされ、吉良さんもパーカーを脱ぎ捨ててしまった。
「…早く、風呂に入れろよ」
一緒にお風呂に入るなんて、3年間のうちで初めて。
実は何度か吉良さんには誘われたんだけど、その度に恥ずかしくて逃げ回ってて…
早く風呂に入れろ…と、上半身裸の吉良さんに言われれば、次は下を脱がせろってことだと思う…。
「それ、じゃ…し、失礼します…」
吉良さんのスラックスのベルトに、震える手をかけて思う。
これ、スーツのスラックスだ。
じゃ…じゃあ皺にならないように…と気をそらそうとしても、あまりにも場所が近くて気になって仕方ありませんっ!
震える手でボタンを外し、ファスナーに手をかけたところで…
「…お前、自分の服脱いで」
吉良さんは急に脱衣所に消えてしまった…!
………………
「…失礼…します…」
考え抜いて、バスタオルを胴体に巻いてお風呂に入るという浅はかな知恵を思いついた私を見て、吉良さんはイラついた声で言う。
「…なにそれ興ざめ」
あっという間にバスタオルを外された…!
わーっだのキャーッだの言う私に、吉良さんは一切視線を向けてこない。
「後ろに入って」
バスタブの中で少し前にずれてくれて、できた隙間に入り込む。
私が恥ずかしがるから、後ろなのかも…。
ちょっと感謝。
バスタブにはほんのり泡が立ってる。
この中で体をこすれば洗えるって入浴剤。
出る時にシャワーで泡を流して終了ってやつだ。
「まず…肩と背中を揉んで」
「…は、はい」
催促されて…両手を肩に置く。
滑らかできれいな肌…。
こんなあられもない格好でそばにいるなんて…心臓が口から出そうなのを必死で飲み込んだ。
「…さっきからゴクッて喉がなってるぞ?もしかして…ムラついてんの?」
「ちちち…違います!お肌がきれいだから、み、見とれるっていうか、ドキドキするっていうか…!」
必死に弁解しつつ、慌てて肩を揉み始めた。
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