12.

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お風呂でイチャイチャした日の夜、大学の帰り道、吉良さんからの着信に慌てた。 3年経ってもまだ慣れない…。 吉良様、という画面表示。 着信に出た途端、携帯を地面に落としてしまった。 衝撃音は、吉良さんにも伝わったと思う。 「なにしてんの…」 「あぁっ…!画面にヒビが入ってるです…!」 はぁ…っと、盛大なため息が聞こえる。 せっかく電話をくれたのに、疲れさせちゃったかな…? 「もうアパート?」 よくわかったな…と思いながら言う。 「今大学の帰りです…歩いてただけなのに、吉良さんから着信が入って慌てて出たら落としました…」 吉良さんはもう1度、はぁ〜…っと、ため息をついた。 「…まだ俺からの着信に、そんなに驚く?」 「あっ…いやぁ〜…っ!」 自分でも変な声をあげてしまったと早速後悔…。 「…今度は何?」 「耳に直接吉良さんの声が入ってくるから、ドキドキして…あと、ため息も」 携帯をブチッと切られ、代わりにメッセージが入った。 『これでいいの?』 『すいません…』 呆れたようなうさぎのスタンプと、意外なメッセージに驚いた。 『これから、部屋に着いたらメッセージして』 えぇっ? ずっと禁止されてたのに? どういう風の吹き回し…?と打とうとして、吉良さんから続けてメッセージ。 『必ずな?忘れたらコロス』 と物騒なことを言い放たれ、私は慌ててうさぎが了解!と敬礼しているスタンプを送信した。 …………… 「へぇ…放置の鬼彼氏、ついに心を入れ替えたか?」 霧子に『帰ったメッセージを毎日送る』ことになったと言うと、ニヤニヤした顔で言われた。 「いや…綾瀬先輩、そんなに鬼彼氏じゃないと思うよ?」 錦之助が妙に知った顔で言うのを、霧子は見逃さない。 「錦之助…丸め込まれたな…」 そう言われて、ぷうっと頬を膨らませた錦之助の頬を、霧子が楽しそうに突っついた… 「それにしても大きな一歩だね!モモから連絡できるようになったなんて、良かったじゃん!」 錦之助に優しく言われて、本当に大きな一歩だなぁ…と思いながら、帰ったって連絡以外他のメッセージはしちゃいけないのかな…と考えてしまった。 「しちゃえ!しちゃえっ!それに既読スルーなら今度こそ別れ話だ!」 私を思うあまり、吉良さんには冷たい霧子だった。
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