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…………
その日早速帰って、テーブルの前に正座して、前に置いた携帯と直面した。
画面をちょん…と触るとふわぁ〜とロック画面が表示されるのはいつも通り。
「…いざ…!」
ロックを解除してメッセージアプリを開く…と、あらら…すでに吉良さんからメッセージが…。
『ずいぶん遅いな。まだ帰らないのか?』
とっくに帰ってますが…先にお風呂に入って身を清めてから…と思いまして。
そのように返信をすると、秒で返ってまいりました…
『アホか』の3文字。
『帰ったらすぐにメッセージして。明日から』
間に私の返信もスタンプも待たずに連続で送られてくるメッセージに…『はい…』と返事を送信して呆気なくメッセージタイムは終わった…。
とは言え、今までよりだいぶ近くなったと感じる吉良さん。
ベランダに出て、お隣の吉備須川さんの部屋の方に近寄ると、なんと吉良さんの部屋の玄関が見えるポイントがある。
それを見つけた時は…正直何か不穏なものを見てしまったらという恐怖が先に立って、この3年間、ほとんど見ることはなかった。
でも…メッセージを私からしてもいいってことになった今なら…見ることができる。
メッセージをくれたってことは、仕事も終わったってことだろうし、もうしばらく見てれば帰ってくるかな…
なんて呑気に眺めること30分…。
姿が見れるかもしれないのなら、まだまだ凝視することは可能です。
「…あ、吉良さん…」
眺めていた吉良さんの部屋の前に、遠目でもスーツ姿がカッコよすぎる男の人が現れた。
あれ、もう1人…いる。
玄関前に、吉良さんと連れだって現れた人を見て、私の心臓がドクン…と嫌な音をさせた。
…女の人が、明かりのついた吉良さんの部屋に入っていく。
背丈、それから髪型…あの人、もしかしたら…。
…………
気づくと、足が勝手に動いたみたいで…吉良さんのマンションに来ていた。
女の人を家に入れてたの見たよって。
誰なの?って。
玄関のドアを叩く勇気もないくせに…。
…その時、ベランダ側から女の人の高い声が聞こえた。
とっさに隠れながら、見上げると…あれ、吉良さんの部屋だ。
ちょっと離れてみると、スカートが翻ったのが見えた。
…特徴的な模様のスカート。
あのスカートが誰のものか、私は知ってる。
「吉良さんのも干しますかぁ?上着、脱いでください…!」
部屋に戻って手にしたのは…吉良さんの上着…。
どうして?
どうして美麗ちゃんが吉良さんの部屋にいるの…
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