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毎回、緊張する瞬間…… 淫乱って思われないかな。 どういう状況…?って思われない? 実際言われたことある。 「濡れすぎ…どういう状況?」って。 今日は、何も言わない。 聞こえるのは、耳元で繰り返される荒い呼吸音だけ。 割れ目に沿って動く指先に…思わず声が出る…その瞬間、吉良さんの下半身がぐっと押し付けられて… 私の耳を甘噛みしながらベルトを外して… スラックスを脱ぐ気配がする。 あ…今日は全部脱いでくれないのかも。 今日は…じゃなくて今日も…。 「…あぁっ…」 はいていたハーフパンツを下着ごと脱がされ、片足を持ち上げられて、股間をいじられる。 何度か擦られ、長い指が入ってナカをかき回されて、あっけなく果てると… そのまま後ろから挿入された。 繰り返される律動に高められて、快感に届きそうになった時… 「…四つん這い」 吐息まじりの低い声が耳元でささやく…。お腹をそっと持ち上げられて…恥ずかしい体勢。 このポーズ嫌いなのに…吉良さんがどんどん速度を早めるから。 …いつも先にイッてしまう。 速度を落としながら…先端を最奥に擦り付けるように律動を繰り返す。 「…は…締めすぎ…」 いつまでも痙攣が止まらない私のナカで、愛する人が荒い吐息を吐き出しながら果てるのを感じた…。 それは私にとってもすごく幸せなことで…。 その幸せを、触れ合って共有したかった。 「…吉良さん…」 今日こそ…って毎回思う。 後始末を終えた吉良さんの胸元に手を伸ばして…寄り添おうとした。 「…もう寝ろよ。今日は遅くなったから」 ベッドを降りて、吉良さんは振り返らず出て行ってしまった。 …そこにぬくもりさえ残さずに。 あぁ…今日もキスしてくれなかった…。 正面から、抱きしめてもらえなかった…。 寝ている私を抱きに来ただけ。 待って…って 抱きしめて…って キスして…って…言えなかったなぁ…。 ポロっ…と涙が頬を伝ったことは、きっと吉良さんに言えない。
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