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…やがて、クリスマスがやってきた。 今年はクリスマスもお正月もない。 こんなの受験の時以来だ。 一緒に過ごそっ!なんて言ってた錦之助もなぜか来ないし、正真正銘のボッチクリスマス。 吉良さんは…会社関係の忘年会続きかなぁ。 楽しく、過ごしていてほしい。 毎年、クリスマスは吉良さんと過ごしていたことを思い出す。 素敵なレストランで美味しいディナーを食べさせてくれた。 …去年はすごく豪華なホテルを取ってくれて、驚いたっけ。 …部屋での食事のあと、シャンパンを開けて、一緒にお風呂に入りながら飲もうって誘われたけど…恥ずかしくて逃げ回った…。 私は学生でたいして何もできないのに、吉良さんは私に、自由になる時間とお金を使ってくれたと…今さら思う…。 …引き出しから、小さなケースを取り出した。 小さな正方形の箱と、薄くて細長いケース…。 ここ数日、眺めることがなかったな…。 小さい方のケースには…ルビーとダイヤが散りばめられた、プラチナの指輪。 付き合ってすぐのクリスマスにもらった。 きらびやかでもったいなくて…傷つけたら嫌でつけられなかったけど、毎日眺めては喜びに浸っていたんだ。 そっと指にはめてみる…。 痩せたけど、リングサイズは変わっていないみたいで、ちょうどピッタリ。 2年目のクリスマスは… 細長いケースを開けてみる。 指輪と同じく、ルビーと小さなダイヤが花の形に型どられたプラチナのネックレス。 実は指輪とセットだったみたいで、私でも知ってる有名ジュエリー店のロゴを後から見つけて…やっぱり怖くてつけられなかったっけ。 2つとも、毎日眺めてるだけで幸せだった。 …ネックレスもつけてみることにする。 「…わぁ…綺麗…」 鏡の中で、特徴のない私が、品のある赤い宝石に華やかに彩られてる。 「…そういえば、もったいないとか無くしたら怖いとか言って、吉良さんにつけた姿を見せてない…」 何やってるんだろ。 なんだかとっても、悪いことをした気持ちになった…。 そして…ハンガーに吊るされたコートに目がいく。 これ、実は今シーズン、買ってもらったもの。 私がもったいないばっかり言うから…って、他のコートを全部持っていかれて、必然的に着るようになった。 …今年も、何かプランがあったのかな…。 物思いに耽っていると…部屋のインターホンが鳴って、誰か来たことを告げる。 そんなわけないのに…今自分が考えていた人を思い浮かべてドキドキしている自分を感じた。
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