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「…ヤッピー!メリクリ!」
ドアの向こうにいたのは…錦之助。
「…あ。思い出して…来てくれたんだ?」
内心のガッカリを出さないように気を付けながら、どうぞ…と手招きしたが…。
「…いやいや!やめとく。まだ、死にたくないし!」
それより…と言って、小さくてきれいな箱を差し出してきた。
「…なに?プレゼント?ごめん。私何も用意してないや…」
「…いや…違う違う!でも、そう。まぁいいから!メリクリケーキ食べて!」
箱を手渡して、錦之助は風のように帰っていった。
ふんわり甘い香りがする…。
テーブルに持っていって箱を開くと…
「…イチゴのケーキ…!」
生クリームがお花みたいにデコレーションされてる小さな小さなケーキだった。
…大好物なんだけど…!
錦之助、ケーキとか作れるんだ?!
でも聞いたことある。
理系脳は、お菓子作りが上手だって。
錦之助はそれから、1日置きに部屋に来て、何かしら食べ物を置いていくようになった。
それは色とりどりのお弁当で、ちょうど私が食べきれるくらいのサイズのもの。
…それが、すごく美味しかった!
でも、どこか懐かしい味で、切なくなるのはなんでだろう。
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