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「モモさ、あんたと吉良さんの関係は、恋人じゃなくてセフレね?」 ハッキリ物を申すのは、大学で仲良くなった友人、霧子。 「…ちゃんと付き合ってください…って言ったもん。それでオッケーしてもらったんだもん…」 大学内のカフェ。 テーブルに頬をペタリとくっつけるようにして突っ伏す私は、霧子に弱々しく抗議する。 「…でも夜中に忍び込んで来て、やることだけやって出ていく男ってどうなのよ?」 確かに。 肌の触れ合いは下半身のみ。 向かい合ってのキスもハグもなしじゃ、私だって恋人じゃなくてセフレかもって不安になる。 それでも… 「…好きなんだもん。前にも増して大大大好きなんだもん…」 夜中だろうと早朝だろうと、私の部屋に来るということは、その前に私を思い出したということで。 …それだけでも幸せな気持ちになる。 人に見せない部分を見せ合う行為ができるっていうことは、私を多少なりとも信頼してくれて、そして女として認めてくれてるってことでしょ? たとえそれがセフレだろうと、私は絶対吉良さんを拒めない。 いつでも365日、毎日24時間。 吉良さんを受け入れてしまう自信しかない。 「…じゃあさ、そんなに大好きなら、どうしてそんなに悲しそうな顔してるの?」 歯に衣着せぬ物言いが得意な霧子…。 そこは見ないふりしてスルーしてほしかった。 「…ねぇ!なんで?なんでよ?」 「それは…」 抱かれるのは嬉しいけど、下半身だけ脱いで抱かれるのは寂しいから。 しかも最近はそんなことが多くて、さらに寂しいと思ってる…。 「…わかるよ?それひどいもん。私だったら怒るよ?せめて寂しい気持ちを打ち明ける。モモはなんでそうしないの?」 うー…と唸ってごまかすも、霧子はパチンと手を打って大げさに言った。 「わかった!セフレだと言われるのが怖いのか?!」 「…3年も続いたセフレなんていないもん。…多分」 ぶーっと頬をふくらませる私を笑いながら、霧子は授業があるから…と言ってカフェを出ていってしまった。 「…卒業するまでには、はっきりしたほうがいいんじゃない?」 別れ際、霧子がさらりと置いていった言葉。 テーブルから起き上がって、たしかにその通りだと思っている自分を感じた。 …………… 恋人(多分)の綾瀬吉良(あやせきら)さんとは、3年前の大学1年生の終わり、学祭で出会った。
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