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私の視線を感じるからか、ちょっとそっぽを向いて、話を続ける。
「…一緒にいた子たちと笑ってた。その笑顔がすごく可愛かったんだけど…俺といるときには、そんな笑顔じゃないかもしれないって思った」
「…あ」
好きすぎて緊張しちゃうから、確かに素のままで接することは、いまだにあんまりできないかも…。
「それで、大学でのモネをもっと知りたくなった」
意外にも友人3人も茶化さずに聞いてる…。
「まず錦之助を捕まえて、モネの仲良しの子はどの子か教えろって言った。そしたらあいつ、自分だとか言うから、絞め殺そうかと思った」
いや~殺しちゃダメよ…という、鬼龍さんの冷静な突っ込みが妙におかしい…!
「…そしたら何人か女の子が集まってきて、1人は見たことある子だったけど、ちょっと睨まれて怯んだんだよな」
それはたぶん、霧子だ。
私がいろいろ悩んでることを知ってる霧子だったから、とっさに睨んだんだろうな…。
「…そしたら錦之助が、そのうちの1人を指差して合図してくるから、その子に頼んだ」
何を…と言おうとして、吉良さんが赤面してることに気づく。
「…大学での、モネのことを教えてほしいって。同じ学部だから簡単だって言ってくれた子が、美麗ちゃんだった」
「私の大学での様子を、美麗ちゃんを通じて知ろうとしてたんですか?」
驚きすぎて、酔いも覚めちゃう…!
「モネに直接聞くのは照れ臭くて、嫉妬して、束縛したくなるかもしれないし…」
錦之助にも固く口止めしたという。
「…結局束縛してたじゃんっ!美麗ちゃんが報告に来て、モネちゃんがモテモテだって言ったら顔色変えたからね?」
憂さんが面白そうに言う。
「…モネがどんな様子なのかはメッセージしてくれたらそれでよかったんだけど、彼女やたらと会いたがって。こっちも頼んだ手前、断りづらいから、錦之助と3人で会おうとした。そしたらどうしても家に行きたいって言われて…」
錦之助が捕まらなかったから、急遽憂さんに来てもらったという。
「…ということはあの日、部屋に2人きりじゃなかったっことですか?」
そう言えば、ベランダから見たとき、すでに部屋に明かりが灯ってるのを見た気がする…。
「…もちろん。先に憂が部屋に来てた。実はついでに、美麗ちゃんの興味が、憂に移ってくれないかという魂胆もあった…」
美麗ちゃん、吉良さんのこと好きだったから。
2人で飲みに行ったというのは彼女の嘘で、連絡先を教えたのは、頼んだことをメッセージしてもらうのに必要だったからだと言う。
「…酒飲んで顔が赤くのは、メッセージのなかで聞かれて…答えたことだ」
と言われ、ちょっとむくれる…。
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