17.Side 吉良

2/6

916人が本棚に入れています
本棚に追加
/60ページ
3年前、学祭で俺を見たモネの驚いた顔は忘れない。 あの出会いが、実はこの俺によって仕組まれたものだと知ったら、彼女はどう思うだろう。 モネを見つけたのは、実は俺のほうが先だ。 いつもなら行かない学食で、美味しそうに食事をしている小柄な女の子を見つけた。 斜め後ろの席で、見るともなく見ていると、食べながら何度も小さくガッツポーズしているのが見えた。 その仕草が可愛くて…目が離せなくなった。 食べ終わると手を合わせてごちそうさま、と言ってる姿も健気で…それからよく学食に行くようになったんだ。 当時からなぜか女の子に囲まれる事が多くて、あまり目立ちたくなかった俺は、1日のほとんどを研究室で過ごしていた。 そんな俺が学食に通いだしたのだから、周りも変だと思ったかもしれない。 でもなぜか、気になってしかたなかったんだ。 そして、近づく卒業…。 学食に男と2人でやってきた彼女を見て、心臓がドクン…と跳ねたのを感じた。 …だよな。 あの可愛らしい見た目だ。 彼氏がいてもおかしくない… するとあとから女の子が遠慮なくそのテーブルに参加して… 聞こえてくる会話で、3人が仲良しの友達だとわかった。 意外なほど…ホッとした。 これは…いくしかないだろう。
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

916人が本棚に入れています
本棚に追加