17.Side 吉良

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人生初だった。 今まで頼まなくても女子が群がり、告白めいたことをされてきた俺は…はじめて彼女たちの気持ちがわかった気がした。 チャンスを伺っていたところに、開催された学祭。 これまでの経験から、人混みに行けば必ず女子に捕まる。 そして飲み会だのご飯だのお茶だの誘われて、行くと言ってないのに連れ出されることがほとんどだった。 だから警戒して学祭なんか行ったことなかったが、もしかしたらこれが最後のチャンス… モネを見つけた時は、ドクン…っと、心臓が跳ねたのを感じた。…2回目だ。 ピョンピョン飛び跳ねて楽しそうなモネに、誘われるように近づいた。 ぶつかって来たときは、正直チャンスだと思った。 どうやら少しだけ女子ウケする顔面らしいと自覚があった俺は、これ見よがしに髪をかきあげて…アピール。 モネがじっと俺を見て動かなくなったから…内心ガッツポーズだった。 あれから3年…最近思う。 モネを思う気持ちが溢れすぎていたくせに、ずっとそんな気持ちをうまく伝えられなかったと。 そして、それを放置してきたと。 自分なりに…節目や行事のときは、頑張ったつもりだったが…そんなことより日常のほうが大切だったと知る。 胸の中にいる彼女。 安心しきって目を閉じる寝顔を見下ろして、おでこに口づける。 「モネち…かわい…」 寝顔には言えるのに、面と向かってこんなセリフは言えなくて…超絶口下手で照れ屋の俺は、いろいろ誤解されていたようだ。 3年も付き合っていれば、世の中のどんなカップルも…いろいろある。 俺たちには、そのいろいろが極端に少なかった。…たぶん今回が初めてだ。 それは、実はモネの我慢のうえに成り立っている付き合いだったから、と気づかされた。 いつも健気なモネ… 3年前よりさらに熱っぽい目で俺を見上げるモネ… 愛しくて愛しくて、一周回って冷たい態度になっていたと知ったら、さすがに嫌われるか…。
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