17.Side 吉良

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「…私、ご飯炊くので…!」 …は? 人が我慢できないほどの性欲と戦っているのに、のんきに米だぁ? 「…ご飯炊いて、おにぎり作ります。それからお味噌汁作って、それを食べてもらって帰ってもらいましょ」 …そんなもの、蹴っ飛ばして起こして「とっとと帰れ!」と言えば終わるのに。 手を止めた俺を振り返って、ニコッと笑うモネが可愛くて俺は思わず「…うん」と、素直にうなずいてしまった。 ……… 「…鮭焼いて具にするか?」 冷蔵庫を開けて言う俺を、モネは手で制して 「私が1人でやるからいいんです!」 と言って俺の背中を押す。 まぁおにぎりだし、そんなに難しくないだろう…と任せることにする。 その間に、奴らを蹴り飛ばしながらカーテンを開け、テレビをつける。 「…なんだよ早いな…!俺らあれからもう少し飲んでたから眠いわ…」 俺がちょうどムラムラと激しく戦って、もう少しで負けそうな時に飲んでいたとは、下手したら覗き見されかねないところだった…。 やっぱり我慢してよかった…! やがて焦げ臭いにおいがして、キャーだのヒ-だと声が聞こえて、モネが入ってきた。 「お待たせしました!二日酔いの朝に美味しいおにぎりとお味噌汁です…!」 運ばれてきたおにぎりを見て、笑ってしまった。 デカイ…。すごくデカイ、規格外に小さいのもあるが、形が丸い…!なぜかまん丸だ。 「…ちょっと不格好ですけど、私の愛が込もってます」 「…込めなくていいから」 つい、ソッコーで言ってしまって、奴らの失笑を買う。 デカイおにぎりは奴らに譲り、俺は小さいのをもらった。 「…うまっ」 塩加減がちょうど良くて、海苔とのバランスがいい。具も大きくて食べ応えがある…。 ついそんな感想を言うと、また奴らに言われる。 「モネちゃんが作れば何でも激ウマなんだろ?」 吉良のデレがキモいと眉を潜められたが、だったら早く出ていってもらいたい…! 俺の無言の圧力が伝わったのか、おにぎりを食べ終わると、やっと3人は帰り支度をし始めた。 玄関先まで見送りながら「忘れ物ないよな?絶対…戻ってくんなよ。」と言ってしまって。 悪友たちの妖しい笑顔に見つめられてしまう。 …ふと見ると、1人遅れた憂が、モネになにやら耳打ちしている。 「…憂!何して…」 「何にもしてないしてない。邪魔者は消えるから、あとは吉良がべったり可愛がってやれよ~」 3人は来たときと同じように、嵐のように去って行った。 やっと…2人っきりになれた…!
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