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「…私、ご飯炊くので…!」
…は?
人が我慢できないほどの性欲と戦っているのに、のんきに米だぁ?
「…ご飯炊いて、おにぎり作ります。それからお味噌汁作って、それを食べてもらって帰ってもらいましょ」
…そんなもの、蹴っ飛ばして起こして「とっとと帰れ!」と言えば終わるのに。
手を止めた俺を振り返って、ニコッと笑うモネが可愛くて俺は思わず「…うん」と、素直にうなずいてしまった。
………
「…鮭焼いて具にするか?」
冷蔵庫を開けて言う俺を、モネは手で制して
「私が1人でやるからいいんです!」
と言って俺の背中を押す。
まぁおにぎりだし、そんなに難しくないだろう…と任せることにする。
その間に、奴らを蹴り飛ばしながらカーテンを開け、テレビをつける。
「…なんだよ早いな…!俺らあれからもう少し飲んでたから眠いわ…」
俺がちょうどムラムラと激しく戦って、もう少しで負けそうな時に飲んでいたとは、下手したら覗き見されかねないところだった…。
やっぱり我慢してよかった…!
やがて焦げ臭いにおいがして、キャーだのヒ-だと声が聞こえて、モネが入ってきた。
「お待たせしました!二日酔いの朝に美味しいおにぎりとお味噌汁です…!」
運ばれてきたおにぎりを見て、笑ってしまった。
デカイ…。すごくデカイ、規格外に小さいのもあるが、形が丸い…!なぜかまん丸だ。
「…ちょっと不格好ですけど、私の愛が込もってます」
「…込めなくていいから」
つい、ソッコーで言ってしまって、奴らの失笑を買う。
デカイおにぎりは奴らに譲り、俺は小さいのをもらった。
「…うまっ」
塩加減がちょうど良くて、海苔とのバランスがいい。具も大きくて食べ応えがある…。
ついそんな感想を言うと、また奴らに言われる。
「モネちゃんが作れば何でも激ウマなんだろ?」
吉良のデレがキモいと眉を潜められたが、だったら早く出ていってもらいたい…!
俺の無言の圧力が伝わったのか、おにぎりを食べ終わると、やっと3人は帰り支度をし始めた。
玄関先まで見送りながら「忘れ物ないよな?絶対…戻ってくんなよ。」と言ってしまって。
悪友たちの妖しい笑顔に見つめられてしまう。
…ふと見ると、1人遅れた憂が、モネになにやら耳打ちしている。
「…憂!何して…」
「何にもしてないしてない。邪魔者は消えるから、あとは吉良がべったり可愛がってやれよ~」
3人は来たときと同じように、嵐のように去って行った。
やっと…2人っきりになれた…!
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