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大学で出来た友人、霧子と錦之助と3人、初めての学祭ではしゃいでいた。 受験戦争に勝ち、合格を手にして、夢見た大学の…これが学際! …かなり、浮かれていたと思う。 特設会場で、人気のダンスパフォーマンスを見ながら、3人でぴょんぴょん跳ねて盛り上がっていた。 そしたら後ろに立っている人に派手にぶつかって…慌てて謝った。 すいません!…と言いながら、後ろを振り返ったときの衝撃は…今でも忘れない。 スラリとした長身で、黒い髪が目にかかりそうな大人の男の人。 「…いや、大丈夫…」 言いながら前髪を邪魔そうにかき上げて見えた眉の凛々しさと、平行二重の目力が、抜群に素敵で…。 鼻と口のバランスもいいですね…なんて、変なこと言いそうになって思わず口を押さえ、後ろを向いたまま固まってしまった。 あまりにじっと見つめたからか、あの時の吉良さん、今はほとんど見せてくれない笑顔で言った。 「…見ないの?」 前を指さしながら言われ、後ろを向いてるのが自分だけだと気づく。 「はい…!見ます…」 とっさに吉良さんの両隣を確認して、女性がいないことを確かめてから、前を向いたけど…。 本当はもう、ダンスなんて目に入らなかった。 ……… …吉良さんのフルネームと学部がわかったのは、実は錦之助のおかげだった。 「…綾瀬吉良先輩だろ?理工の院生2年だよ」 なんてシャラっと教えてくれたから、犬みたいに頭をワシャワシャ撫でてあげたっけ。 吉良さんと同じ理工学部の錦之助は、私と違って校舎も一緒だったので、頼み込んで私の目となり耳となって動いてもらうようになった。 今日は見かけたのか見かけなかったのか。 見かけたなら服はどんなで、何をしていたのか…。 そして、1人でいたのか誰かと一緒か。 「モモ…うるせー。早く告白しちまいな」 毎日のリポートに疲れた錦之助に言われた。 寝ても覚めても吉良さんの顔しか浮かばない自分を自分でも持て余して、後悔したくない…という理由も加わり、卒業が迫った吉良さんに玉砕覚悟で告白したんだ。 「…別に、いいけど」 あっけないほどサラッと降ってきたオッケーの花びら…(なんだそれ) その場で思わず泣いてしまった…。 「なんか…俺が泣かせたみたいなんだけど?」 呆れたみたいに言われて、必死に涙をぬぐって連絡先を交換してもらった。 「…俺忙しいから、そっちからの連絡は控えてくれる?」 今交換した連絡先の意味って…。 驚いて見上げた吉良さんが笑顔だったから、思わず「ハイ!」って、元気よく返事をしてしまったんだ。 …決死の告白から3年。 後で聞いたら、学祭に行ったのはあれが初めてだったそうだ。 私は「運命?!」って色めきたったけど… “初めて行った学祭で捕まった” 吉良さんは私との出会いをそんな風に言う…。 その顔が、いつも困ったような表情だから、私はいつも謝った。 ”…見つけてしまってすみません“
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