《どういうこと?》

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《どういうこと?》

 目が覚めるとそこには美女が映っていた。どうしてだが口をあんぐり開けてこちらを見ているので、せっかくの大きな青い瞳が零れそうになっている。  さらさらな金色の髪を左片方だけ結い上げて、際どい白い服を着た彼女がこちらをじっと見ている様子はまるで女神のようだと左右田は思った。 「あのっ! って――」 (あれ? 俺の声、なんだか高くはないか?)  しかも豊満な女性も一緒になって口を開けている。――おかしい。  左右田は立ち上がり目の前にある壁に迫った。女性も一緒に迫ってくる。  やっぱりそうだ。……壁に手を付ける女性も壁に、鏡に手を付けた。 「どういう……ことだっ!? 俺は、えっと……、こんな奇麗すぎる嬢ちゃんに入れ替わったのか!??」  せっかくの絹のような髪がぐしゃぐしゃになってしまうが、左右田はそれでも頭を掻かずにはいられない。  自分は、自分の身体は一体どうなってしまったのだろうか。交通事故で全身にも怪我が及んで身体自体も作られて変わってしまったのか。  ……だがこのたわわかな胸にはいささか興味がある。くびれもあり、尻もなかなかの良い形をしていた。  左右田は密かに手を胸に置いた。ふわふわのマシュマロのような感触にイケナイ気持ちになった。自身の顔が鏡越しで赤くなるのが伺えて顔を逸らせば――ガチャリとドアが開いた。 「こら、カイラット・リーディング。次はお前の番だ。早く支度をしないか」 「え、あ、えっと……。俺は、カイラット・リーディングっていう嬢ちゃんなんですか?」 「……お前、自分の名前もなにもかも知らないのか?」  黒服のタキシードの男が首を傾げているが左右田は、いや――カイラは知らない。この麗しい美貌の女性がなんで自分のようなむさ苦しい男と入れ替わってしまったのか、というよりも身体さえも作りかえされたわからない。  男は挙動不審ではあるが作り笑みを浮かべているカイラに自慢げな様子だ。 「お前はこのオークションの目玉だからな。まぁ、記憶喪失するぐらい親を恨んでいるのならば恨めばいいさ」 「……はい?」 「なに、ここで買ってくれるお客様はお前を絶望の淵には落とさないさ。……お前は安心して、このオークションでその身体を売ればいい」  なにがなんだかわからないまま、カイラは黒服に手を引っ張られて舞台に連行された。舞台は大勢の客がカイラの姿に拍手喝采を浴びせた。  左右田は、いいや。――カイラはなにがなんだがわからない。
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