やわらぎ

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 社長の長男は社長付きの役員待遇になっている。  毎日、役員受付に挨拶して、専用の個室で執務している。  女が受付担当の時か、お茶を出す時、社長の長男と言葉を交わすことになるが、次期社長にふさわしい帝王学を修得している品のある言葉に聞こえた。  先輩秘書が自分こそ伴侶に選ばれたいと競うのも当然だろう。  女はその競争には参加しないことにした。ふたりの先輩秘書は安堵した。  女は大学を卒業して半年ということもあって、焦って伴侶を決める必要がない。たとえ玉の輿に近い環境にいたとしても。
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