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結局、百貨店では生活に必要な最低限のものを買ってもらった。
和史はなにも言わずに支払いを済ませてしまい、買ったものを馬車に積み込んでもらう。
「さて、帰るぞ」
和史がそっと姫子に手を差し出してくる。その手に自身の手を重ねて、姫子は馬車に乗り込んだ。
カタカタと走る馬車。姫子はそっと外に視線を向ける。和史はなにを考えているのだろうか。彼も、窓の外を見つめていた。
「……今日は、ありがとうございました」
なんというか、沈黙がいたたまれなくて。姫子は当たり障りのないお礼の言葉を口にした。和史は、こくんと首を縦に振るだけだ。
「そ、その、なんでしょうか。ご迷惑をおかけしてしまって……」
しどろもどろになりつつそう言えば、和史が首を横に振ったのがわかった。
「別に、迷惑だなんて思っていない」
彼がはっきりとそう言葉を口にする。
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