年末年始

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年末年始

 仕事納めも済んで年末年始の休暇に入った。  あの程度の噂なら休みのうちに消滅するだろう。以前、彩花に流された根も葉もない酷い噂に比べたら可愛いもんだ。それに、あいつの車に乗ったのも事実だし送って貰ったのだから。  隼人さんは、年末も忙しいらしい。  大掃除をしていて、急に思い付いて家具を新しく購入なんて人も居るという。何も、こんなに押し詰まってから部屋の模様替えをする事もないのに。  新しい年は新しい家具で気持ち良く迎えたい。これは日本人独特の発想のような気がする。けじめの文化。そう思うのは私だけだろうか。  年末の休みの三日間は一応部屋の片付けなどして買い物。大袈裟に買い出しなどしなくてもスーパーだってコンビニだって開いてる。  後は、高校時代の友人と会う約束をしている。お互い花の独身で、とりあえず付き合っている人もいない。そんな二人で待ち合わせをしてショッピングしてストレス解消。  夜は二人だけの女子会。美味しいものを食べて飲んでおしゃべりして。久しぶりに心置き無く楽しい時間を過ごす。年々参加メンバーも減って今年は二人だけ。来年は、お互いどうなっているのか分からないけれど……。  大晦日は、いつもなんとなく一人マンションでゆっくり過ごす。明日は実家に顔を出さないといけない。  お正月は家族揃って迎える。早崎家家訓でもないのだけれど。母の手作りのおせち料理で新しい年を迎えるのが恒例。大人になると特別お正月だからって楽しい訳でもない。お年玉を貰える内が花だったのかな?  明日、隼人さんと約束をしている。元旦と二日だけが、お休みだというのに……。ゆっくり体を休めた方が価値的な気がしていた。私なんかのために、せっかくのお休みを潰して申し訳なく思う。十時に待ち合わせをして美味しいお昼をご馳走してくれると言っていた。  そして二日。マンションから少し歩いた駅前でブルーの車を待つ。振袖姿の女の子を何人か見掛けた。お正月なんだなと思うのは、そんな時。  来月、二月の誕生日が来たら私は二十八歳になる。子供の頃、二十八歳の女性は素晴らしく大人に見えた。自分がその年齢になっても、高校時代くらいから、それ程、変わったとも思えない。  人間、いつになったら立派な大人になれるのだろう。仕事で尊敬されるような実績を残す。恋愛も何度か経験して失恋の痛みや人を愛する心の葛藤を知る。それで大人になれるのだろうか?
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