深夜二時のメッセージ

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 泰生は耳の中で鼓動が響くのを聞きながら、言葉を探した。もう気にしていないと打ちこもうとして、そんな適当ではいけないと思い直す。もっと、自分の気持ちにより近い返事をしたい。  石田牧師の言葉を思い出した。もし縁があるなら、絶対に関係を修復するチャンスが来る。  これはチャンスなのだろうか。ならば尚更、真摯に向き合うべきだった。そう考えるほどには、泰生にはまだ、旭陽という友人を失うことへの未練があった。 「こんばんは。試験お疲れさまでした。ちょっと寝そびれていたので、RHINE見ました」 「告られたことはともかく、その直後の井上の振る舞いが腹立たしかったのは事実です。でもよく考えてみると、俺だって同じ態度を取るかもしれないし仕方ないと思いました。だって、自分を振った人間に、にこにこしてやる義理なんか無いから」  泰生はどきどきしながら、2つのメッセージを続けて送った。するとすぐに既読がついたが、旭陽は沈黙する。泰生は2時を過ぎたスマートフォンの時計を見て、ふと友樹の寝ているほうに光が向いてはいけないと思い、ベッドの上で身体の向きを変えた。  何分か過ぎると、新しい吹き出しが、旭陽のメッセージを載せて次々と現れた。 「こんな時間にほんとにごめん。まさか起きてると思ってなくて、めちゃくちゃびっくりした(笑)」 「実はあの時、長谷川も俺と同じ気持ちでいてくれてると勝手に思い込んでて(ごめん)、その分ショックで、友達としてなら交際できるって何やねんって腹立ったし、もしかしたら言いふらされて周りにゲイバレするかもしれんと思って、怖くなった」 「長谷川が言いふらしたりするわけないのにな。そんで、長谷川の退部願を4回生が受け取ったって聞いて、もうどうしたらいいかわからんくなった」 「友達でいいからって言おうとしたけど、もう遅すぎた。こんなしょうもない俺を許してくれとは言わん。自己満足や。でも、ほんまにごめん」
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