始まりは雨の日だった

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始まりは雨の日だった

始まりは雨だった。 傘も持たずに、濡れてる君の後姿に僕は惹かれた。 …あの時の僕と同じだ… 僕は遠い昔の事を思い出す。 あの日僕は、雨に濡れながら歩いていた。 荒む心を雨が洗い流すのか、僕の体に降り掛かる。 …君に何があったの?… と、問いかけるすべは何も無く見つめているだけ。 あの日の僕も、雨のことなど気にもならなかった。 …この雨に打たれながら死んでしまいたい… と、心の片隅に残して歩いていた。 …君もそう思っているの?死んでしまいたいと思っているの?… 君の事を思っていても呼びかける事もなく 僕は君の前に立ち、君の顔を見る。 君は僕を見て微笑むはずだ。 だが、君は無表情。 顔色一つ変えはしない。 後ろから声がする。 「どうですか!弊社開発の最新型のアンドロイドです。 この様に雨の降る時に、道路に立たせて置くと、皆さん興味を持つみたいで 顔を伺いに来るのですよ」 と、嬉しそうに語るのは宣伝マンだ。 人間そっくりなアンドロイド。 つぶらな瞳 哀愁を含んだ笑み。 僕は恋に落ちるのか? 人間では無くロボットに! 雨は止み雲の切れ間から、太陽に日差しが彼女の顔を照らす。 雨のしずくがネックレスの様に日差しで輝く。 僕はあの娘の虜 あの娘は人間と違って僕を裏切ったりはしないはずだ! 恋に堕ちた、あの日の雨上がり。
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