暗澹

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街は、いつだってノイズに包まれている。 逆、かな。ノイズの塊が、街というものを作っているのか。 …どっちでもいいや。 昼を少し過ぎた頃。中途半端な時間のファーストフード店はお客も疎らだ。 そんな中にブレザー姿の私は、ひどく浮いていた。 それを自覚しながら、かと言って気にするわけでもなく烏龍茶とポテトを注文する。 カウンター席に陣取って、宿題を広げた。幾つもの数式が似合わない机の上で自己主張を始める。 淡々と処理されていく数式。絶え間無く滑るシャープペン。学生ひとり。木曜日の午後二時。 成績はトップクラスだった。というのも、進学校に落ちた為、滑り止めの薄暗い私立高校に甘んじている結果でしかないが。 成績がよければ、教師は何も言わない。授業をサボっても、泥沼の私立校。そんなの日常茶飯事だ。 一人ひとりに突っ込んでくる教員の方が珍しかった。 寧ろ私がよく言われる言葉なんて。 (大学受験、有名校、推薦、有名企業、就職) 機械みたいに無機質な単語。そうですよね、進学率、就職率を上げれば学校の名誉になりますもの。 市内一の不良校、その汚名を濯ぐために躍起になる教師に、憐れみと同情を覚えずにはいられない。 宿題と共に処理されるポテトは、いつもより少し塩辛かった。
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