お寿司屋

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 ここは山梨県の駅前の寿司屋なのだ。  さっきからおかしなことをしている、と自覚しながらしていた。彼は寿司屋に入って一年たった寿司屋であった。 「飯を冷まして」彼は店長に言われて飯の入った器に迷わず水を入れた。  それに気がついた店長に呆れた顔で彼は見られた。 「寿司を握る飯に水をかけてどうする?」 「違いますか?」 「当たり前だ」 「ではどうやって?」 「うちわを使って冷ます」 「わかりました」 「飯がおかゆになっちまっただろ」 「どうしましょう?」 「炊き直し」 「わかりました」 「早くしろ」  飯は炊けて何とかなりそうだな、と彼は考えた。  彼は食器洗いばかりしていた。  就職して一年の寿司屋の従業員なんて、そんなものだ。彼はそれでも仕事は嫌ではなかった。だが今回はあまりにもばかすぎて 店長は呆れた顔で彼を見ていた。  彼は恥ずかしかった。
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