第一章・Jesus Christ Superstar 4ー②

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第一章・Jesus Christ Superstar 4ー②

車のCM撮影に行く途中は、今朝のニュースを聞き付けたマスコミに追われる事になった。 レイを必要以上に刺激しないようにとお願いして、ジェリーが簡単な応対をした。 こんな移動の際にもマスコミが来るようでは、防犯設備が整った場所でなければとても安眠出来るとは思えない。 撮影所に着いてすぐ社長に連絡して、社の持ち家でもあるセキュリティのしっかりしたマンションに滞在する事になった。 車の撮影は、背景のCGに差し替えたバージョンの撮影となった。 今回は緑色の壁を背景に車と、風に髪を靡かせる姿を色んな角度から撮るだけのものだったので、すんなりと撮影を終えた。 完成すると、背景には壮大な宇宙が広かったCMになる予定だ。 ただ、ウルフにはCGというものを理解させる事が出来なかったので、最後まで怪訝そうな顔をしていた。 終わり間際、セット裏で監督がジェリーに話しかけてきた。 「レイが記憶がなくなったと聞いて心配していたんだが、見た所、元気そうだね」 「ご心配おかけしました。何とか撮影出来て良かったです。当初と予定を変更させてしまってすいませんでした」 「いや、そのうち、もう一つのパターンも撮るのはお願いすると思うよ。先方さんは両方望んでたからね。スケジュールはまた、連絡が行くと思う」 ジェリーが改めて再び深く礼を言ってから立ち去ろうとすると、監督がその腕を取って引き留めた。 「ジェリー。君がマネージャーをやってるのは勿体ないよ。実は僕が撮りたいものがあってね。それに是非、君を使いたいんだ」 この監督はCM業界では有名な手腕の持ち主ではあったが、同時に使うタレントも『食ってしまう』という意味でも有名だった。 特に金髪の男が好みのようで、この監督の餌食になり、泣き寝入りしたモデルや俳優達は数え切れなかった。 「その話なら以前にお断りしましたよね?私にはタレントとしての才能はありません。ありがたいお話ですが、代わりに是非、うちの事務所のモデルを使ってやって下さい」 「君が良いんだよ、ジェリー。もう一度、話し合いたい。今晩、空いてないかい?良かったら食事でも、どう?」 ジェリーは男に腰を引き寄せられた。 「いい思いをさせてあげるよ?君が味わった事のない世界を見せてやる」 「……結構です。申し訳ありませんが、私はヘテロですから」 「女では物足りなくなるぞ。私とセックスすると……」 男の手が、ジェリーの尻の方に回り、それをやんわりと揉み始めた。 大物監督だけに上手くかわさなければ、今後の事務所の仕事にも影響する。 何とか、食事程度で我慢して貰う方法はないものかと思いあぐねていると、不意に尻を揉む手が止まった。
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