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第一章・Jesus Christ Superstar 4ー③
「……何をしている」
地を這うように低い声がして、男の手が捻り上げられていた。
「いたっ……痛いっ!レイっ!止めてくれ!手が折れるっ!」
「ジェリーに触るな。このまま潰しても良いんだぞ。……腕を使えなくされたいか」
「……そっ!そんな事をしたら、どうなるか分かってるんだろうなっ!私はっ……」
「ジェリーに触っている姿は、携帯で撮影したぞ。不利になるのはお前だと思うが」
それを聞いて、男は飛び上がるようにして走り去った。
ジェリーは、ホッと安堵のため息を洩らした。
「ありがとう、ウルフ。朝、教えたスマートフォンの使い方、分かってたんだな。良かった……」
「いや、まだ理解出来ていない。使えたら良かったな……と思ってデマカセに言ってみたんだが、功を奏したようだな」
「撮ってなかったのかよ!」
あれだけ自信たっぷりに言うものだから、まさかハッタリだとは思わなかった。
すると、ジェリーの体がグラリと傾き、ウルフの厚い胸板に抱き留められた。
そのまま腕をジェリーの背後に回して来て、尻を揉まれた。
「ちょっと!何してんだよ、君まで!……あっ、コラァ!」
「あんな男に揉ませてたから」
「別に揉ませたくて、揉ませてたんじゃないよ!コラ!どこに指入れて来てるんだ!ちょっ……、やめっ……!」
「私がやっているのではない。この体が勝手にやってるんだ」
「こんな時だけ都合良くレイのせいにするなぁ!うわぁ!ダメっ、ダメぇ!……あぁっ」
「……ジェリー……」
「馬鹿ぁ!まっ、またっ!ウルフのっ……勃ってるっ!もうっ……またかよ~!」
思わずウルフの腹にパンチを食らわしたくなったが、モデルという商品に手を出す訳にはいかず、結局、そのまま好き放題させてしまった。
レイとの間では、性的な事は皆無だった。
今、こんなにしょっちゅう勃起するレイの体は、元からがそうだったのか、ウルフが悪いのか、どちらのせいなのか。
明らかなのは、発情しているのは自分に対してで、ジュリー自身、それをどうしてやれば良いのかが分からない。
レイも、ウルフも好意を持ってはいるが、恋愛対象や、性的対象としては見れない。
ジェリーは、これから先もこんな調子のウルフと24時間過ごすのかと思うと、気が遠くなった。
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