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第一章・Jesus Christ Superstar 5ー③
「……ジェリー。お前は男には、恋愛感情が湧かないと言っていたな。ではお前の、私への気持ちは何なのだ?」
「……大切には想ってるよ。スゴく、大切に想ってる。でも、恋人に想う気持ちとは……」
「今までの恋人と比べては、どうなんだ?」
これまでのジェリーの恋人といえば、アマンダに等しく押し掛けられて強引に付き合ってきた女ばかりだった。
彼女達に愛という感情があったかと聞かれれば、もしかすると愛ではなかったかも知れないと思う。
では、ウルフに対して愛情があるかと言えば、それが恋愛かどうかは別として、愛しい存在であるのは確かだ。
失いたくはないという執着もある。
「……分からないよ。俺はもしかしたら恋愛をした事がないのかも知れない。愛するって気持ちが分からないんだ」
「お前は愛情の深い人間だ。愛する気持ちが分からないのではない。全てに深すぎて、本当の愛を見つけられないだけだ」
「……ウルフ」
「私は、お前のように愛しい存在に巡り会ったのは初めてだ。今まで多くの妻を娶ってはきたが、どの女にもこんな感情が湧いた事はなかった。……お前だけだ。私をこれ程に熱くさせる存在は」
「何で……俺なんかに惚れたんだよ」
「これは、精霊にしか分からない。私への定められた運命なのだ。その導きのままに、お前を愛している」
ウルフは、そっとジェリーを抱き締めた。
ジェリーが嫌がらないのを確認すると、その腕に力を込めた。
「私を拒絶しないでくれ。ジェリー。無理矢理、私を受け入れなくても良い。だが、私がお前を愛する気持ちを否定はしないでくれ」
ジェリーは、ウルフの背中に手を回した。
「嫌いじゃない。嫌いじゃないんだ。ウルフ……。でも……、俺は自分の気持ちが分からない」
「今はそれで十分だ。……もし、お前の心に私への愛が宿っていると感じたら、その時はお前を私のものにする」
こんな熱烈な告白を聞かされたら、今の状態でもクラクラしてしまいそうになる。
ジェリーは、酒に酔ったように足元が覚束なくなった。
今までの彼女からの愛の言葉は、全て一方的なものだったので、こんな包み込むような大きな愛情に巡り会った事がなかった。
ソファーに座るよう促され、ウルフの膝の上に横抱きにされているジェリーは、その腕の中で顔がのぼせる程に赤く染まっている。
よもやこの年で、男の膝の上に座らされる事があろうとは夢にも思わなかった。
しかも、ウルフの手は妖しくジェリーの腰辺りをさ迷っている。
「あ、あの、その……ウルフ?……俺、まだ分かんないんだからな?分かってる?」
「分かっている。無理強いはしない」
ウルフの手は、腰から太腿辺りまで降りてきて、慈しむようにして撫でる。
ジェリーはその感触に、背筋がゾワゾワして、体を縮めてしまう。
だんだん変な気分になってきて、その手を押さえると、そのまま内太腿を伝って、足の間に手をスライドされた。
「あぁっ!」
変な声を出してしまったと思った直後、ジェリーは体に甘い電気が走るのを止められなくなる。
ウルフはジェリーの頬に、音の鳴るキスを繰り返した。
「男はダメだと言っていたが、感じられそうだな……ジェリー」
「ウルフ……もう、手を動かさないでくれ……」
ダメどころか、こんなに体が痺れるように感じた経験がなく、ジェリーは戸惑いを隠せなかった。
ウルフの悪戯によって、ジェリーは完全に勃起したまま、溢れんばかりの愛を受け続ける拷問にも似た悦びに酔わされた。
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