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第2章・Crazy Wolf 2ー①
シャワーを浴びたいと言ったジェリーの言葉を無視して、ウルフはジェリーを強引にベッドへ連れ込んだ。
「今日、汗かいてるのに……」
「お前の汗の匂いは、芳しいだけだ。まるで花の薫りのようだ」
「それ、オーデコロンの薫りだと思うけど」
ウルフはキスをしながら、ジェリーのYシャツのボタンに手をかける。
早く、早くと、ジェリーを求める本能は、そのシャツを引き裂いてしまいそうになる。
それを必死で抑えて、その上半身を裸にすると、ウルフの浅黒い肌とは対称的な白い肌が露になった。
その中央にある淡い色の乳首は、女の物よりも儚くて、ウルフの劣情を煽った。
「私は、お前に巡り会わせてくれた運命に感謝したい。明日には、大地の精霊に犬を捧げよう」
「……ちょっと待って。犬を何て?」
「犬を捧げる」
「どこの犬を捧げるんだよ」
「事務所の隣に犬がいた。あいつを……」
「あれは、お隣さんの飼い犬!ちょっと!それは止めて!」
ジェリーは、ウルフを押さえ付けるようにして、上になりキスを落とした。
ウルフは、ジェリーに好きなようにさせてやり、自らの手はその美しく引き締まった上半身を撫でる。
ウルフの硬く盛り上がった筋肉と違って、ジェリーの筋肉はしなやかで柔らかだった。
それは、自然の中で暮らす民族であるレイの血筋と、完全なるヨーロッパ人であるジェリーとの人種の違いでもあった。
ジェリーは横たわるウルフの上から、膝立ちして起き上がり、自らのベルトを外す。
そして、ズボンのチャックを下ろしたところで手を止めた。
ウルフも元はヘテロセクシャルだ。
自分の全身を見て、萎えないだろうかと一瞬過る。
そんな懸念を察してか、ウルフは「私も早くお前と、一つになりたい」と言って安堵させるように優しく抱き締めた。
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