1.お米には七人の神さまがいるんだよ

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 おお、と公武はようやく明るい顔をする。 「どんなことをするんですか?」 「全学年クラスごとに行灯を作って町内を練り歩くんです」 「行灯ってロウソクをともす照明器具のあれですか? 町内を練り歩くとは? みんなで手に持って歩くんですか?」 「手に持つというより担ぎます。大型乗用車くらいのサイズのやつを作るんです」 「そりゃすごい」 「ああいえ、わたしは模擬店の甘味処の担当で、祖母直伝の梅シロップを使った白玉団子を出すんです」 「いいですねえ」と公武の眼差しが柔らかくなる。「そうだ」と柚月はサコッシュの中をさぐる。 「よかったらいらしてください。最終日が一般公開日なんです。これ、チケットです」 「えっ。高校生の中に僕が入れるでしょうか」 「わたしだって高校生です。公武さん、普通に接してくださっているじゃないですか」 「それはそうですけど──」 「お時間があったらで。無理なさらないでくださいね」  はあ、とうなずき公武はしげしげと学祭のチケットを眺めた。 「そうかあ。学祭かあ。……準備期間が一番楽しいですよね」  公武はほんのつかの間眉を歪める。切なげで苦しそうでありながら懐かしそうな顔つきだ。  そして泣きそうな笑顔になって続けた。 「大変でしょうが、がんばってください。いましかできないことですから」
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