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「照明も迫もここからリモート操作しているんですが、すべて音楽のタイムコードとシンクロさせてオートプログラムを組んでいるです。演劇のようにアドリブで段取りが変わったりしないし、舞踊では音楽の流れが絶対ですからね。迫は危険だから、いつでも手動操作に切り替えられるようにはしてありますが、昨日の通し稽古も順調だったし、今日の舞台はさらに完璧に進行していました。迫の動きにしたところで、デュオの入りで彼女を運び上げたらそのまま、あとは大詰めで彼女が乗ったら下ろすだけと、いたってシンプルだ。常識的には、事故なんて起こるはずがないんですよ」
「リモートはワイヤレスのようですが、混信の可能性はありませんか?」と柏木が尋ねた。
「ええ、それが一番怖いんで、前回の野外公演から超音波によるコントロール装置を使っているんです。赤外線や通常の電波などより指向性が高いので」
「我々の方でシステムをチェックしても構いませんか?」と堂島が言った。
「もちろんです。音源とプログラムを入れたUSBメモリーをお渡しします」
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