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「柏木さんのお力を拝借しなければならない事件が最近たて続けに起こっていましてね、我々は本当に助かっているんですが、もともと研究で多忙な方だ。オーバーワークにならないように、気をつけてあげてください」
「わかりました」
堂島の言葉に、翠は少しはにかみながら微笑んだ。
「では、お二人ともお気をつけて」
「前園君によろしくお伝えください」
舞台の中央で穴の底をのぞき込んでいる前園の姿に気づいて、柏木はそう付け加えた。
その夜、柏木は書斎で、五台のカメラの画像データをパソコンに取り込み、マルチ画面で再生しながらチェックを続けていた。彼がドアをノックする音に応えると、翠がアイスコーヒーのグラスを載せた盆を手にして入ってきた。
「コーヒーをどうぞ」
「ありがとう」
柏木はアームチェアを回転させて翠の方に向き直ると、コーヒーを受け取った。
「ビデオをご覧になっていかがでした?」
翠は書斎の中央に置かれた革張りのスツールに腰をおろしながら尋ねた。
「これといったものはまだ何も。この一件が単なる事故でないことだけは、改めて確信したけどね」
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