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柏木はそう答えると、再びアイスコーヒーのグラスを手に取った。
「うん?」
ストローに伸ばしかけた手を止めると、柏木はそのまま考え込んだ。
「どうかなさったの?」
「ストローのまわりに泡が……。さっきまでなかったし、泡立つほどかき混ぜてもいない。もしかすると……」
柏木は急いでパソコンに向かい、映像のタイムコードを確かめた。翠に静止画像を見せた後は、マルチ画面の動画再生がそのまま続いていて、今は藤花が迫で登場してから十一分が経過したところだった。
「君が来て五分といったところかな」
柏木はつぶやくようにそう言いながら映像を五分前に戻すと、音量を上げてもう一度再生を開始した。
二分後、つまり藤花の登場から八分後の場面にさしかかった時、ストローの周囲に細かな泡が生じ始めた。
「どういうことなんですか?」
柏木と一緒にグラスを見つめていた翠が声を上げた。
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