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コントロールブースで助手に指示を与えている大野に目をやりながら堂島が言った。
客席を照らす照明は消えたままだったが、舞台を上部から照らすメインの照明と、舞台中央の炎のホログラム、四隅の篝火を模した照明はすべて点灯され、すでにヒトリガなどがその周囲を飛び交っていた。
やがて、準備を終えた大野が舞台に上がってくると、堂島はこれから行われようとしている検証の内容を説明した。
「昨晩、柏木准教授から迫が下りた原因が明らかになったとのご連絡をいただきまして、その確認をするためにこうしてお集まりいただいたわけです。客席の照明はなく、演者は登場しませんが、音響、舞台照明などは昨夜の本番同様に進行させます。柏木さん、再現するのは藤花さんのソロパートが始まって七分たったところからでよろしいんですね?」
「ええ、それで結構です」
「では、大野さん、お願いします」
大野は堂島の言葉にうなずくと、コントロールブースに残っている助手に右手で合図を送った。音楽が流れ始めると、柏木は周囲の人々に声をかけた。
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