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──もういやだ、死んじゃいたい。
そんなふうに思っても、死ぬことなんかできないし、落ち込んでも明日は来てしまう。
昨日はとことん最悪すぎる1日だった。
仕事では自分のミスでもないのに、濡れ衣を着せられて、上司にはこっぴどく怒られて。
理不尽さに泣こうものなら「これだから女は」って言われるのがわかってるから唇を噛んで耐えた。
悔しくて苦しくて、でもあの場で泣かなかった自分を褒めてあげたかった。
挙句の果てに疲れたから彼氏に癒してもらおうと、アポもなくたどり着いた彼氏の家の玄関には、あたしじゃない女の靴と聞こえてくる色っぽい声。
「なんだこれ、あたしがなにをしたっていうの?」
呟いた声は誰にも拾われず、あたしは彼氏に自分が来たことが悟られないようにそっとドアを閉めて家を後にした。
大学生の頃からいままでもう5年も付き合っていた。
ずっと大好きだったし、彼が浮気をしてるなんてと思ってもいなかったけど、もしかしたらずっとあたしと会ってないときは浮気相手と会っていたのかもしれない。
もしかしたらあっちが本命かもしれないけど、そんなことは今どうだって良かった。
彼が浮気をしていた事実に変わりはないんだから。
「あー……何してんだろ」
そのままどうしたのかもあまり記憶が無いけど、家にはちゃんと帰ってきたらしく起きたらちゃんと自宅のベッドの上にいた。
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