幸せならそれでよかった

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「お前俺に興味なさすぎだろー」 揶揄うように笑ってあたしの頭を撫でる。 「で、会社休んで彼氏とも別れたと」 「うん。」 「おまえさ、マジで男運悪いよな?」 「……高校の時とは違って5年も付き合ってたんだよ」 高校の時のあたしはとことん男運が悪くて、浮気されては別れて「もう彼氏なんていらない」って隼太に泣きついてたっけ。 「今回の彼氏は上手いこと隠してたのな」 「……っ、最近かもしれないじゃん」 「どっちでもいいだろ。どのみちそいつはお前がいながら浮気するクソ野郎なことにはかわりないんだから」 「……そうだね」 浮気が前からだろうと最近だろうと、浮気していた事実は変わらない。 昔から隼太はあたしことを全肯定してくれていて、そして正しい方に導いてくれてその度に救われてきた。 大人になってもそれがかわらないなんて、なんの成長もしてなくて笑っちゃう。 「なーんでそういう相手ばっかみつけてくるのかねぇ」 フッと笑ってあたしの髪の毛をすくう。 「……っ」 あれ、なんかこれ違う。 一瞬にして空気がかわったのがわかった。 この感じ知ってる。男女の合図だ。 でも、あたしと隼太はいつも軽口叩いて楽しく過ごせる相手で、お互いそういうんじゃないはずだった。
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