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「……隼太ってあたしのこと好きなの」
気づけばこんな自惚れ発言が勝手に口から出てたけど、そう言ってしまっても仕方ないほど隼太の瞳が熱くなってるように見えた。
「ん、そうだね。浮気される度に俺に泣きついてくる陽華が早く俺のものになればいーのにってずっと思ってたくらいにはね……好きだよ」
髪の毛に触れていた手はいつの間にか頬に移っていて、触れられ他部分がどんどん熱くなっていく。
「ねぇ、俺にしときなよ」
「……っ」
「幸せじゃないと思ったら連絡してって言ったけど、別に陽華の不幸を願ってたわけじゃねぇよ」
「うん」
「俺のものじゃなくてもいいから、陽華が幸せならよかったんだよ。俺はいつも。でも、電話してきたってことはいま幸せじゃないってことだろ」
「……そのセリフまったく覚えてないけど、幸せではないのはたしか」
「なら、俺が幸せにしてやるから俺と一緒にいてください」
目の前の彼があたしの手を取ってこの上なく幸せそうに笑うから「はい」って答えている自分がいた。
「やっと、幸せにできる」
そうやって笑う隼太になぜだか「幸せじゃないと思ったら連絡して」ってすごい笑顔で言ってる姿が脳裏に浮ぶ。
そうだ、この言葉があったから卒業してから辛いことがあっても頑張ってこれたんだとおもいだす。
「……ありがとう、隼太」
外を見るといつの間にか雨は上がっていた。
雨上がりの街は気分が晴れたあたしよう。
「雨も上がったし、帰ろう」
ふたりで手を繋いで。
きっと隼太はこれからもあたしを全肯定してくれる。
いつだって、あたしだけのヒーローはすぐそばにいたんだ。
-Fin-
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