最悪な再会

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「俺、外回り行って来ます」 「もう17:00過ぎてるよ、約束(アポ)でもあるの」 「ま、そんな感じです」 「行ってらっしゃい」  翔吾はエベレストに登頂する為、営業に出ると偽って会社を飛び出した。走りに走って近場の緑地公園に駆け込み震える指で電話帳を開いた。ここでようやく登山道入口に立った。終業時間は17:15、秋良は書類を(まと)めて村瀬係長のデスクに提出している頃だ。 (ーーーこ、ん)  震える指で文字を打ち込むと無駄に可愛らしい絵文字が表示され腹が立った。 「くそっ!」  携帯電話を草むらに投げ付けたが数秒後冷静になって拾い上げた。 「くそっ!」  今度は微妙な文字変換が邪魔をして腹が立ち、気が付けば草むらに携帯電話を投げ付けていた。 <こんにちは、元気ですか>  送信した瞬間後悔した。元気もなにも数十分前まで目の前のデスクに座っていたのだ。しかもLINEトークと違ってメールが開封されたかも分からない。メールを無視され明日顔を合わせるなんて公開処刑以外の何者でもなかった。 <こんにちは、元気ですか>  秋良の携帯電話がメールの着信を知らせた。詐欺まがいのメールだと思い削除しようとしたがメールアドレスを確認し、それが誰から届いたメールかを瞬時に悟った。 syo-gosama1031@****.** (自分の名前に様付けってどれだけ自分が好きなの!)  あの純粋だったはもう何処にも居ないのか、秋良は半ば諦めながらメールを返信した。 <こんにちは、元気です>
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