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「なに、好かれて当然とでも言いたそうね」
「そんな訳ないし」
翔吾は不貞腐れた顔で腕組みをした。
「どうしてそう偉そうなの」
「ーーーーー性格?」
秋良は深いため息を吐き額に手を当てた。
「伊藤さん」
「なんだよ」
「私と会った気がするって言ったわよね」
「言った」
「なにか思い出した?」
翔吾は眉間に皺を寄せて空を仰いだ。
「よく考えたら秋良に似た顔なら何処にでもいるような気がする」
「あ、そう」
「あ、いないかも」
「あ、そう」
「いるかも」
「どうでも良いわ」
「いないかも」
翔吾は自分の発言を二転三転と覆した。間違いや思い違いを認めたくない、これも拗れた俺さま気質の成せる技だった。
「はぁーーーーー」
意味のない押し問答に面倒臭くなった秋良は翔吾が伊東秋良を思い出すきっかけに有効となりそうな何枚かのカードを切った。
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