リュネット

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 僕は友達に恵まれていたんだって、ずっと大人になってから知ることになるんだけど。その当時は、当たり前のように些細な事が、魔法みたいにみんなの心をわくわくさせた。  メガネ事件は、夏が近づく梅雨の合間の、草のむっとする季節だったから、草つゆのかおりとともによく覚えてる。  その日の学校帰り、雨が止んだその時に。  慣れないメガネがずり落ちて、足元ばかり見ていたんだ。  今は舗装された道路ばかりになったけど、その頃はまだ土でとろってなる道ばかりだった。  穴ボコだらけの水たまりをよけながら歩いて帰ったり、水たまりばかりを踏んづけてわざとビジャビシャにしながら帰る子とか、みんな色んな帰り方を楽しんでいたよね。  あの日は、メガネが湿気で曇ってしまいわざとひとりでゆっくり帰った。  照れ臭さ半分、ちょっとえっへんて感じが半分だったような。  なのに、下ばかりみながら注意深く歩くことになって、初めて水たまりを見た気がしたんだ!
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