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「私も雨上がり大好き!君もでしょ?」
にこにこしながら、女の子がさっきの僕みたいに水たまりを覗き込んでいる。
「小さい頃ね、雨上がりの水たまりに空の雲が映り込んでいるのをみて、綺麗すぎて興奮しちゃって。それから雨上がりの水たまりを見ると、ついつい覗き込んじゃうのよ。ふふふ。」
彼女はクシャッと頬を紅くして、照れたように笑った。まるで夕陽みたいに。
「いつも雨上がりにここを通る時、君が水たまりを覗き込むのを見て、あぁ同じだって。いつか声をかけてみたくて、ごめんね。びっくりしたでしょ。ほんとはね、すっごく勇気が必要で…。今日やっと声をかけたの。ほんとごめんなさい。」
よほど緊張していたのか、勇気を振り絞ったからなのか、怒涛のごとく彼女は喋った。今日でこの仕事場が最後で、僕にはもう会えなくなるだろうなって思っていたら、ちょうど雨が上がり、水たまりでちょっと立ち止まる僕を見かけたんだそうだ。
それで勇気を出したんだって、もう真っ赤になりながら俯いて喋ってくれた。
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