リュネット

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 その日教室に入ると、クラスのみんなが僕の方を見てざわざわと騒がしかった。  僕がメガネをかけて登校した、初めての日だったから。  だぁれもメガネをかけてる子は、いなかったから。  「おい、どうしたんだ?」  仲良しのケンタくんが、すぐに近寄ってきた。  「メガネつくりなさいって、先生に言われちゃったんだ。」  僕は何てことないさって感じをつくって、ちょっとばかり大人っぽく言ってみたけど、照れ臭さが滲んで声がうわずってしまった。  「すっげーな、タイチ!カッケーぞ!」  手放しでほめてくれるケンタくんは、いい奴だ。  「タイチくん、なんか頭いいって感じ!似合ってる。」  ゆきちゃんまで、わざわざ机のところに来てくれた。僕、頬が赤くなってないかな…。  「そ、そんなわけないじゃん。頭まで変わんないよ。」  「そうかなぁ?よく見えたら、きっと何でも見えるようになるんだよ。答えまですけて見えたり。」  「まさかぁ〜。」  「だよね。ふふふ。」  ゆきちゃんは、学級委員でしっかりしてるんだけど、とってもお茶目で頭がいいんだよ。  他にも、友達がわいわい言ってほめてけなして、先生が来るまでちょっとした事件になっていたんだ。
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