悠乃優也

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悠乃優也

小高い山の上の一軒家が僕と彩の新居だった。 山道と階段の上り下りは少し大変だったが、快適な住まいだ。 「悠乃優斗(ゆうの ゆうと)という名は、いずれ世界中に知れ渡る。 それほどまでの頭脳を持ってして、君は院生にならないのか?」 大学の教授に言われたけれど、僕には迷いは無かった。 「高身長に頭脳明晰でイケメン、でも『残念』が付いちゃう」 なんてことも女性に言われたことがあるほど、僕は人付き合いが 不器用だから、院生になって研究チームに入るほうが無難だと 本当は思っていた。 けれど彩に出会ってからは世界の色が変わった。 彩と結婚して、ささやかな家庭を持ちたい。 僕は仕事量の多い有名企業の内定を蹴って、小さな会社を選んだ。 もちろん、彩を専業主婦にさせれる収入を得られる仕事に就いた。 そんな僕たちの幸せな日々は二年間で終わった。
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