ヨコクチさん

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石職人の名前はティム。 石を加工してアクセサリーを作る仕事をしていた。 その親友がヨコクチさんだった。 ヨコクチさんは野良犬で、大好きな木の実が落ちている山へと 出かけていた。 その山にティムの家があったのだ。 そしてヨコクチさんはティムの仕事にちょっかいを出した。 「なーんだ?その変な長さ、女性は嫌がるぞ」 「あー、その色と合わせたらダサい」 「こんなの大きすぎ!」 ティムは反論したり、考え直したり、作業を続けた。 「おい、ヨコクチ、これはどう思う? 20代の女性が花のペンダントを欲しがっているんだ」 「ヨコクチ?」 「そう、おまえの名前。横から口出しばかりするから、ヨコクチ」 「ヨコクチ......おいらの名前かあ、えへへへ、ヨコクチ」 「笑ってないで意見をくれよ、儚げな花がいいんだそうだ」 「そうだなあ、それだと、まだ派手さがあるなあ」 「でも地味過ぎてもダメだからなあ」 「ほんの少し小さくして、真ん中に、ほんの少しピンクを入れる」 「難しいなあ」 ティムは赤い髪を掻きながら悩んだ。 いつも白いシャツを着ているけれど、洗濯しても落ちない汚れが 染み付いていた。
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