ヨコクチさん

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ヨコクチさんはミルティさんが見た魚について詳しく聞いた。 ティムは図鑑で調べて魚を特定した。 エメラルドグリーンに光る魚......。 ティムは、その色に合う石を探し回った。 そして何度も何度も作っては捨て、納得いくまで仕上げていった。 「できた!」 やつれきった顔と伸び放題の赤い髪でティムが叫んだ。 それと同時に家が揺れた。 「やったなあ、ティム!だけどプロポーズするときはさあ、 もうちっと身なりを整えろや」 「もちろんだよ!ミルティさん、待っててくださいね」 そんな姿をみて、ヨコクチさんは言えなかった。 なあ、ティム、もしもフラれたら、どうすんの? ヨコクチさんはティムよりもミルティと接している。 いつも笑顔で、パン屋の看板娘で、他に惚れてる男もいる筈だ。 石職人は立派な仕事だが、まともに会話もできなくてどうなる? それでもヨコクチさんは胸にしまっておいた。
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