ヨコクチさん

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「ティム......」 容易くはかける言葉がみつからなかった。 「ヨコクチ、一緒に手伝ってくれて、ありがとう」 ティムが立ち上がった。 「あのさ、本当は、わかってたんだ。 俺なんて相手にならないってこと。でも、でもさ、 どうにもならなかった、好きで好きで、とにかく動きたかった。 だからさ、ブローチを作ったこと、後悔してない。 好きになったことも、フラれたことも後悔してない」 「ティム、おまえ、すげえよ、カッコイイよ!」 「ありがとう。これでもう思い残すことは無い」 「え?」 そのとき。 家が大きく揺れた。 天井からバラバラと破片が落ちてきた。 「ティム、逃げよう!ついに家に限界がきたんだ!」 ティムはヨコクチさんを抱き上げて、ドアから外へと放り投げた。
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